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2007年05月号 掲載

イキトス (ペルー・アマゾニア)
第 8 回 ベレン市場で その2
関 洋人 (大洲市在住)

ベレン市場の露店
 ベレン市場の中で他に興味を引く店を挙げてみよう。手で紙巻きタバコを作って直売している店。バラ売りで1本から買える。corazon de palmito と呼ばれるヤシの芽を器用に手で割き、パスタのような形状にして売っている店。魚売り場の奥には肉屋と鶏屋が軒を連ね、さらにその周囲には種々の日用雑貨を売る店が何百何十と店を広げている。そして、この市場から左の方向、アマゾン河にむかって道の両側にびっしりと露店が続く坂を百メートルばかり下ったところが、有名な木造高床式ヤシの葉葺き住居が密集するベレン地区である。坂を下りて、ようやく露店が途切れた辺りには何人もの街頭散髪屋が並んでいる。ベレン地区をざっと散策し、再び坂を上ってベレン市場にもどると、近くで、何やら煙が立ち、いい匂いがする。例のアマゾンの地魚を炭火で焼いて食べさせる露店であった。母娘で切り盛りしていてなかなか愛想がよく、結構繁盛している。われわれも匂いに釣られて迷わずこの露店のテーブル席に座った。我々はジャンビーナと呼ばれるナマズの一種を焼いたものを注文した。炒めたプラターノが添えてある。テーブルの上に置いてあるアヒ(からし)などのソースをかけて食べる。なかなか旨い。思いがけない所で朝の焼魚定食に出会いわれわれは大満足だった。
 (つづく)

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