2007年04月号 掲載
イキトス (ペルー・アマゾニア)
第 7 回 ベレン市場で
関 洋人 (大洲市在住)
ダリカーヤ
ジュース屋を出て少し歩くと、遠くに我々のめざすベレン市場が見えてきた。例によって、理由はわからないが、入口には赤いビニールの屋根を張った屋台の食堂街があり、その奥に食料品、雑貨、その他諸々の怪しい品々を並べた、間口が一メートルから2メートルほどしかない店が迷路のように拡がっている。ここで、われわれの眼を奪うのは、何と言っても、すぐそばを流れるアマゾン河で獲れた魚を売る店である。日本では、まずお目にかかることのない巨大な淡水魚たち。ダリカーヤ、ガラチャ(鎧ナマズ)、カミターナ、そして、イキトスを代表する魚パイチェ(ブラジル名ピラルクー)が所狭しと豪快に並べられている。
魚を商う店は、扱う品によって、驚くほど細かく分かれている。鮮魚を売る店の近くには干し魚を売る店がある。近くの路上で魚を開いて商品を作っているが、おびただしい数の蝿が群がっている。隣は亀を細かく、きれいに、解体して売る店だ。生きたまま、バラバラにされた亀の体はまだ各部分がぴくぴくと動いている。商品が新鮮なせいか、この店はよく売れていた。亀を売る店の隣はと言うと亀のゆで卵だけを扱う店がある。こんな具合に少しずつ関わりのある、小さな店が延々と連なっていくのである。
(つづく)
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