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2005年09月号 掲載

 
レシフェ(ブラジル共和国) 
関 洋人 (大洲市在住)

ヘジーナと同郷の友人 レシフェの浜辺で
 私は、エシュウを第一の目的地とする旅に同行するブラジル在の同郷の友人とここレシフェで落ち合うことになっていた。故郷の匂いを嗅ぐためにか、彼は私が日本を発つ直前になってエシュウに一緒に行くと電話をかけてきた。エシュウと友人の住む街とは約一二〇〇キロも離れているので、声はかけたものの、おそらく彼はやっては来ないだろうと私は思っていた。
 後述するが、エシュウは能天気な私でさえ一人旅が不安になるほどツーリストには危険な街としてブラジルでは有名な街だから、この友人の電話に、私は内心ほっと胸をなで下ろしていた。
 二十四日午後一時、ホテルにつくと友人はまだ着いていない。長旅の荷を解いたのち、レシフェ到着を実感すべく、海岸通に散歩に出た。あたりに漂う甘酸っぱい熱帯の果物の匂い、軽い腐敗臭、擦れ違う人から時折感じる体臭と強い香水の匂い。ココナツ売りの屋台を過ぎると、サヨリの揚げ物の屋台。頭の上に茹でたカニをのせて売る行商人。これらが渾然一体となってここがレシフェであると主張している。
 ホテルに戻ると程なく友人がギャル同伴で現れる。彼女はヘジーナという名で、なんと二十歳の現役の高校生二年生。彼女の名誉のために書いておくがブラジルでは少しもめずらしいことではない。ブラジルの高校では単位を一つ落とすと、即留年。無事卒業できるのは入学者の半数となかなか厳しい。因みに彼女の住むマラニョン州で高卒以上の世帯主は僅か三%という調査結果がある。ヘジーナが日本語が解らぬのをいいことに同郷の友人は彼女のことを「知性がない。料理が下手。異常に嫉妬深い」等々の悪口雑言。それに反して自分については「自分のことを、地元の人々がsanto(聖人)と呼んでいる。それは悪事を働かず、約束を守り、言ったことは必ず実行するからだ」などと手放しの自慢。さらに、ヘジーナは今回友人が私と二人でよからぬ事をするのではないかと監視に来たのだと言う。ごくろうさま!
 これだけ彼女の事をボロクソに言うのに、ヘジーナの方は私の友人を「知的で働き者」と心底尊敬しているのだからわりきれない。  翌日に備え、十時就寝、二十五日午前五時起床。一人で散歩。海岸のココナツ売りは六時半頃には店を開け、早い人はこのくらいの時間から浜辺で日光浴をしている。ホテルに戻って朝食後われわれ三人も浜辺でブラブラ過ごし、昼前に空港へ。ノルデスチ航空五七五便でエシュウに最も近い空港のある街ジュアゼイロ・ド・ノルチへ向かう。
(つづく)

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