2003年05月号 掲載
イグアス 国境地帯の旅
関 洋人 (大洲市在住)
リオの海岸でマチ・リモナダを売る男
マテ茶のティーバック/味は薬草茶
旅の終わりに、町の小さな土産物屋に寄って、マテ茶セットを購入した。マテ茶はブラジル南部からアルゼンチン北東部の山地が原産地とされるモチノキ科の常緑樹マティの葉を熱気で乾燥し砕いて茶につくったものである。もともと、ネイティヴ・アメリカンのグァラニー族などが薬用にしていたものというが、パンパ地方でガウチョたちが日常的に愛飲し、ウルグアイやアルゼンチンに広がったそうだ。
ヒョウタンの頭をはねたような容器に、茶葉をたっぷりと入れ熱湯を注ぐ。先端に小さな茶漉しがついた金属のストローでよくかき混ぜる。しばらく待ってから、ストローで茶をすする。一人が飲み終えるとお茶を次々と注ぎ足して、回し飲みするが、このような飲み方をシマロンというそうだ。
ウルグアイに長く暮らした友人に聞いた話であるが、ウルグアイでは、ほとんどの人が出かけるときもマテ茶セットを携行しており、路傍で、あるいはバスの中でと、街のあらゆる場所でマテ茶を楽しんでいる光景が普通に見かけられるという。また、ウルグアイの大学では、講義中のマテ茶のまわし飲みが当然のこととされているそうで、どのクラスでも、毎日のマテ茶当番が決められているのだそうだ。
砂糖やレモンなどを入れて飲むこともあり、また冷やして飲む場合もある。ブラジルのリオのビーチに行くと、このマテ茶にレモンを加えた、マチ・リモナダ売りの姿をよく見かける。肩によく冷えたマチ・リモナダの入った大きなステンレス製の容器を掛け、大声で叫びながら売り歩いている。これは結構いける。熱い砂浜できりっと冷えたマチ・リモナダを飲むと生き返ったような気分がする。
(つづく)
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