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1998年01月号 掲載

 
ラパス 
関 洋人 (大洲市在住)

大通りの赤パン売り。左から国立ラパス音楽院教授のT氏、筆者、ドクトル。
 ロドリゲス通りから、再びサガルナガ通りへ抜け、民芸品店で品定め。カラフルな織物が眼につく。しかし、当地の織物は、鮮やかな美しい色彩の品物は安物であり、一見薄汚れて古そうな、くすんだ色合いの品が高級品。また驚いたことにセーターなどは “機械編み”の方が“手編み”より高級とされ値段も高い。もちろん機械が高く、人件費が安いためである。
 サガルナガ通りから、ラパスのセントロにあるサンフランシスコ教会前へ。ラテンアメリカのセントロ名物“ガマの油売り”のボリビア版をやっている。広場の露店で、チョリータのお婆さんから、三葉虫の化石を三個買う。邦貨約二百四十円ほどである。買った後、ハポンで宣伝するから店の品物の写真を撮らせてくれないかと頼んでみたが、「金を出さんと絶対に駄目!」と拒絶された。あまりの因業さにコチャバンバのF氏の言葉を思い出した。「都会のチョリータは風情がないですよ」。


露店風景
 セントロから、ラパスのメインストリートであるマリスカル・サンタクルス大通りを歩いてT夫妻のアパート方向へ。この大通りにも、歩道の脇に露店が連なっている。ここでは赤いパンツがやたらと目立つ。年末になるとボリビアの露店では、いわば縁起物として赤いパンツを売っている。古くからボリビアには、大晦日に未婚の女性が赤いパンツをはいて大掃除をすると、新しい年には好きな相手と結婚できるという言い伝えがあるからだ。物好きな私は、当然のことながら大枚、邦貨約三百円をはたいて一枚購入した。
 その時には、帰国後、六月になって、新聞紙上の健康雑誌『壮快七月号』の広告を見て思わず吹き出すことになろうとは思いもしなかったのであった。そこにはこう書いてあった。「腰痛、生理痛が消える。精力がモリモリつく。《赤パン療法》大流行。
(つづく)

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