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2000年07月号 掲載

 
ペルー・アマゾニア紀行 4
関 洋人 (大洲市在住)

ナマズをさばくおばさん
 十二月二十七日、朝六時、夜来、痛みの出た痔のせいで少し睡眠不足だが、恒例の朝の散歩に出た。
 ホテルから左手に向かい、最初の角を右折、さらに二つ目の角を左折すると屋台の連なる街区となる。そしてそのすぐ先にアマゾン河畔の遊歩道が続いている。左手に河の彼方の緑の地平線に昇る朝日を眺めながらの散歩はすこぶる気持ちがいい。
 その道にそって、十三、四体の先住民の銅像が建てられている。台座にはTCHUCA HAMAE etcという文字が彫ってあった。


亀を売る店
 しばらく歩いていると、右手に軍関係の学校らしい施設が見えてきた。早朝のこんな時間から銃を持った十数人の少年たちが行進の最中だ。その少し先の左手にオレンジの生ジュース屋がちょうど店を開けようとしているところだった。われわれは、この日の最初の客となった。一杯1sol。この店の陽気で話し好きのおっさんは、我々が一杯飲み終えると、すぐに空になったコップを半分ほど満たしてくれた。Gracias。
 また遊歩道にもどって少し行くと、前方に我々がめざすベレン市場が見えてくる。市場の入口には、例によって青いビニールの屋根を張った屋台の食堂街がある。理由はわからないが、少なくとも中南米では、国を問わず、市場の食堂の屋台に使われる色はすべて青なのだ。屋台を通り過ぎると、その奥には、食料品、雑貨その他諸々の怪しげな品々をならべた店が迷路のように拡がっている。一軒の間口はたかだか一メートルか二メートルであろう。


ジュース屋の親爺
 この市場で最も我々の関心を引きつけたのは、何と言ってもアマゾン河で獲れた魚であった。日本ではまずお目にかかることのない巨大な淡水魚たち。ダリカーヤ、ガラチャ(ヨロイナマズ)、カミターナ、そしてイキトスを代表する魚パイチェ(ブラジル名ピラルクー)が豪快に所狭しと並べられている。魚を売る店は非常に細かく専業化されている。鮮魚を売る店の隣には、バイチェの干物を並べた干物専門の店があった。店のすぐ脇の路上では、たかってくるおびただしい蝿を一顧だにせずに、山積みされた魚を開いて干物がつくられている。隣は亀を売る店だ。細かくきれいに解体して売っている。商品は新鮮そのものでバラバラになったそれぞれの部分がまだピクピク動いている。客がひっきりなしに訪れ、主人はその対応に大童だ。客はそれぞれ好みの部位を指定して買っていく。隣はと見ると、亀のゆで卵を売る店……といった具合にイキトスの魚市場は延々と続いて飽きることがない。
(つづく)

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