1996年12月号 掲載
サンタクルス あぶない話2
関 洋人 (大洲市在住)
サンタクルスの街でよく見かける「電線マリモ」。鳥が植物の種をついばみ、
糞ごと電線の上に落としたものが育ったものだ。電信柱に花が咲く。
大事件とは、単刀直入に言えば、JICA職員の中でも専門家と呼ばれるかなりの高級かつ高給職にある獣医師による、ボリビア女性との重婚未遂事件である。彼は既婚で、もともとT県職員の獣医師であったが、JICAの専門家として、ボリビア東北部のベニ州トリニダという街に派遣された。そこで彼はエンプレアーダ(お手伝いさん)として雇っていた十六才の娘と関係し、とうとう結婚することになったのである。当然のことながら彼が既婚者であることが発覚し、周囲の怒りを買うことになった。身の危険を感じた彼は、銃で自分の肩を撃ち貫き他人に撃たれたと偽って日本大使館(あるいは領事館)に駆け込んで保護を求めた。ところがそのエンプレアーダの父親が元政府高官であったため、影響力を駆使して空港を閉鎖し彼の国外脱出を阻んだのだという。そのとばっちりで、私の友人はもちろん、周辺に住む日本人に対して日本大使館から外出禁止の通達が出されしばらくの間、緊張した日々が続いたそうである。
その後の詳細についてははっきりとは、聞かなかったが、かなりの大金を獣医師が支払って決着したようだ。
この話には、父が元政府高官の娘がなぜトリニダという田舎町のエンプレアーダになったのかなど、疑問な点も多い。しかし、滞在中に他の複数の信頼できる人間からほぼ同じ話しを聞いたので、多少の事実誤認はあるだろうが大筋においては真実であると思う。ちなみに問題の獣医師は事件後帰国して、元の職場であるT県職員に復帰しているそうだ。
(つづく)
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