2002年05月号 掲載
オアハカ メキシコ南部山岳地帯
関 洋人 (大洲市在住)
魚屋
オアハカチーズ
メルカドの中には魚屋もある。壁面にキリストと魚を描いた大きなポスターが二枚、貼ってある。魚屋の主人の信仰心が厚いのはよく解るが、それにしても大袈裟な絵だ。ここオアハカは海からかなり離れているが、それでもけっこう鮮?魚を売っている。コノシロやボラ、サメを見かけたし、塩漬けのエビや驚いたことに日本で売っている「開き」そっくりの干物もあった。
衣料品コーナーでK君が、彼の母親のお土産にするために、ブルー地に花柄の刺繍という、ド派手なワンピースを買った。県内某大病院に総婦長として勤務し、先年叙勲を受けた彼の母は後にそのワンピースを受け取ったときに「この服を病院に着ていったら、みんなが、間違いなく、私が気が触れたと思うでしょう」と真面目に言ったという。私もつられて、それよりは地味な白地に花柄の刺繍がしてある薄手のワンピースを妻に買って帰った。やや地味とはいえこちらの方も、とても屋外では着られないとのことで、妻は二、三度パジャマがわりに着ただけであった。しかし、捨てる神あればなんとやら、五歳(当時)の娘がそのワンピースを見つけてすっかり気に入り、裾を引きずりながら家の中を歩きまわったあげくに「大きくなったら私にちょうだい」とうるさい。
忘れてならないのがオアハカ名物、オアハカチーズだ!。メルカドの一角に山積みになって売られている。私は大きめの拳大のものを3個買って帰った。「名物に旨いものなし」と言うがこれは違った。このチーズを食べた人は異口同音においしいと言う。くせがなく、あっさりとして、塩気もほどよく食べて美味しい万人向きの味であることだけは保証する。柔らかいするめイカのように割いて手軽に食べられるのもいい。今度オアハカに行く事があったら土産はこのチーズだけで充分。スーツケース一杯に全部、入るだけ買ってもいいと思っている。
(つづく)
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