2003年08月号 掲載
マナウス(ブラジル・アマゾナス州)
関 洋人 (大洲市在住)
ブラジリアで飛行機の乗り継ぎに失敗、予定より九時間遅れの到着ですっかり疲れ果てた我々は、午後十一時過ぎにようやくホテルにチェックインすることができた。ホテルはアマゾンの大支流の一つ、ネグロ河の河畔にあった。早速シャワーを浴びるが、シャワーの水もネグロ(黒の意)河の水と同様、黒褐色に濁っている。ネグロ河の水の黒褐色は流域の植物が腐食して出すタンニンの色に由来する。我々が、この水で白いタオルを洗って乾かすと、タオルはしっかりと薄茶色に染まってしまう。しかし現地の人がこの同じ水で洗濯すると、なぜか白い布地が、きちんと真っ白に仕上がるというから不思議である。
翌三十一日、朝六時起床。カフェ・ダ・マニャン(朝食)後、マナウス港へ。独特の二階建ての形をした遊覧船がぎっしりと浮かんでいる。八時過ぎに出発。構内には、水上ガソリンスタンドや水上製氷工場などの建造物が浮かんでいる。製氷工場はネグロ河の水をそのまま氷にするため、水の色そのまま黒褐色の氷が出来る。漁船がこの工場に立ち寄って、魚の保存用にこの氷を買っていく。
マナウスの市場に並ぶ巨大な魚、アロワナ(右)コロソマ(左)
港外に出た船は約二十分ほどで本流のソリモンエス河との合流点に到着する。普通はこの二つの河の合流点から下流をアマゾン川と呼ぶ。それにしても実に奇妙な景観である。
ネグロ河の水が黒色に近いのに対して、ソリモンエス河の方は明るいミルクコーヒー色。この二つの色が約二十キロもほどの間互いに混じり合うことなく流れている。それぞれの河の水温や水の比重、流速の違いが原因と言われるがはっきりとした理由は不明だ。
(つづく)
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