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2004年09月号 掲載
第 71 回 三津のおいしいもの二つ
お好み焼き「日の出」/次男坊寿司 
 
 



お好み焼き「日の出」。懐かしい雰囲気の店。
 古い松山藩の港町として賑わい、豊かな海の幸をふんだんに味わい尽くした三津の人々は、松山城下の人々の食生活を、「城下のお粥腹(おかいばら)」といって嗤ったものだという。
揶揄の言葉とはいえ、「おかいばら」という言い方には「情けないものを食べてないで、三津に来いよ、おいしいものがたくさんあるぞ」という、気取らず、おおらかな呼びかけが感じられて微笑ましい。実際に今も三津の町には実のこもったおいしいたべものがたくさんある。
 先日、久しぶりに三津に出かけ、友人がすすめるままに寿司とお好み焼きを食べた。これが両方ともうまかった。ともに、地元ではよく知られた店だからご存じの方も多いであろう。寿司は「次男坊寿司」。もちろん、にぎり寿司も刺身もネタが新しく、なんでもおいしいが、巻きずしが特別においしい。具のかんぴょうや穴子、そぼろ、玉子焼きの味加減とすしごはんの按配がとてもよい。友人の家では大晦日にお正月のおせち用にこの店の巻きずしを毎年たのむという。お好み焼きは「日の出」。伊予鉄三津駅を過ぎて路が右手に折れるカーブのあたりにある小さな店だ。広島風で生地を鉄板に薄くのばし、うどんの玉やキャベツ、肉を山盛りのせて、じっくり焼き上げる。美味しさは食べてもらえばわかる。狭い店でふーふー言いながら食べるのもいい。持ち帰って食べるとキャベツがしっとりしてこれもまたおいしい。
次男坊寿司は三津銀天街の奥にある。



名物の浜っ子巻1本950円。たい、かんぱち、あなご、イカ、キュウリ、紫蘇などが入っている。巻きずしは1本600円。
「船頭さんの味噌汁」350円。ほごが入っていた。

 
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