2002年11月号 掲載
第 59 回 別府路地裏散歩と友永パン屋
大分県別府市千代町2-29
TEL:0977-23-0969
友永パン屋。店のたたずまいまで美味しい。
別府カトリック教会一九五〇年の建築。
大分に住む姉が、帰省してくる時に、時たま、あんパンやメロンパン、チョコレートパンや味付けパンなどを土産に持ってくる。別府で船に乗る前の時間つぶしに買ってくるらしい。白い紙袋に種類ごとに入っているが、5個ずつビニールの袋にいれてあるのもある。どこのパン屋のものかは知らなかったし気にも止めなかったが、とにかく子供たちがよく食べる。実は私たち夫婦も負けずに食べる。もらった日がいっとう美味しいのは無論だが、一日おいても、それほど味が落ちない。パン自体に嫌みな甘みがなく、チョコパンのチョコをはじめ粒あんもこしあんもいい味だ。
先日、長年別府の町おこしに献身されている、元別府市末広郵便局局長河村建一さんに別府八湯と路地裏の温泉を案内していただいた。そのときに偶然このパンに再会した。建物は昭和10年完成のいわゆる看板建築。看板の奥には和風の切妻の建物が隠れている。その日はもう夕方6時近くで、チョコパンがカウンターの上に5つ残っていただけだった。食べてすぐにわかった。創業は大正5年。油屋熊八翁経営の亀の井ホテルにもパンを納入していたという。別府きっての老舗だった。清潔さが歴史になったような店の雰囲気に加えて、店の人たちの応対がとても柔らかい。パンのおいしさがいっそう増した。
店内風景
別府の路地は奥が深い。60戸のコミュニティが支える私有私営の温泉の源泉(左)と女湯。
昭和13年の風格ある建築「竹瓦温泉」と砂湯。
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