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2000年10月号 掲載
第 37 回 魚(ギョ)ロッケ 
家藤鮮魚店 
北宇和郡吉田町魚棚19 
TEL0895-52-0307 

家藤鮮魚店のギョロッケ。1個100円(税込)
予約すればじゃこ天も作ってくれる。 日によってアジフライ(写真)や鯵の唐揚げがあることもある。

 「ギョロッケ!」。魚のコロッケだから、コロッケと魚をドッキングしたすごいネーミング。吉田町魚棚の昔のままの町並みを歩いていて、家藤鮮魚店の前を通り、運よく、店先に置かれた小さななテーブルの上にギョロッケを見つけた時は必ず買う。
 決して贅沢なものではない。魚のすり身と茹でて潰したジャガイモと玉ねぎをまぜあわしたのにパン粉をつけて揚げた魚のコロッケである。でも、うまい。胡椒と心地強めの塩味がきいていて(日と季節によって多少のばらつきがあるかもしれない)、何もつけずに食べるのがよい。油もしつこくなく、魚が新しいので生臭くもない。一個で充分なおかずになるし、子供のおやつにもなる。「大正コロッケ」というおからのコロッケを食べたことがある方は、ちょっと似た雰囲気のものと思っていただいたらよい。
 作り置きはできるものでないし、昼を過ぎるとほとんど売り切れるから、私は、偶然に通りがかりに見つけては、もとめることが多い。よその店でも作っているが、私はなんとなくここの店の味が馴染んでいる。


明治末の元料亭「かねはま」の木造三階建。家藤鮮魚店の向かいにあった。
(藪野 健画)
 ご主人が、その日の朝に仕入れた盥に一杯の新鮮な魚を丁寧に下ろしてつくる。材料が当り前の鮮度を持っていることと、律儀な調理がこの店の味に正直に出ていると思う。欲しい方は、あらかじめ、電話をすれば取り置いてくれる。
 
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