宇和島から国道五六号線の松尾トンネルを抜け、津島町に出る。下り坂の道が平らになってすぐ、道路の右側にソフトクリームのマスコット看板がある。割と車が止めやすい場所で、夏休みに子供と二人で泳ぎに行ったときに初めて立ち寄った。子供にお金を持たせて買いに行かせ、あまり期待もせずに頬張ったこの店のソフトクリームがおいしかった。粉っぽいところがなく、さっぱりとしていて牛乳の味わいが適度にある。おもわずニッコリのおいしさだったのである。そして値段が驚くほど安かった。
　大と中の二種類があり、中が百円、大が百五十円。大などは、不用意に持てばコーンが折れそうな感じである。よく観光牧場などで、牛乳の味が濃いソフトクリームを売っている。例えば大分県久住高原のガンジー牧場ではガンジー種の牛の絞りたて牛乳でつくったソフトクリームがおいしい。ガンジー牧場のは一個三百円で、それも決して高いとは思わないが、この一個百五十円の津島町のソフトクリームは量もタップリ、格別に口当たりがさわやかで、値段は信じられないくらい安いと思う。
　たかがソフトクリームというなかれ。材料を機械に放り込んで混ぜ合わせるだけのソフトクリームには材料に対する店のこだわりや誠実さが正直に出る。店の名も意識せず、前を通るたびに車を止め、子供に買わせて、このおいしいソフトクリームを楽しんでいたが、 今回、初めて店内に入りケーキのショーケースや自家製アイスクリームのバリエーションの豊富さを見て納得した。聞けば、材料はアトピーの子供たちに配慮し、ヨード卵や有機栽培の果物を使用しているという。その日初めて買って食べたケーキは、期待に違わずとてもおいしかった。