夏休みに入り、息子を連れて泳ぎに行った帰りのことである。いつもおいしいソフトクリームを食べる津島町の「寿提夢」の姿が見当らない。むくれる息子をなだめながら、宇和島の方へ少し戻ると、右側に茅葺き風の「寿提夢」の新しい店が建っているのが見えた。
　車を止めて中に入ると、新しい店には、右手に、天井の木組みをそのまま見せた落ち着いた食事のスペースが出来ていた。折角だから、息子とおそ昼を食べてみることにした。席は掘り炬燵式になっていて足が伸ばせる。メニューを見ると、お菓子に負けずにバラエティに富んでいる。時刻が二時ぎりぎりだったので、私は滑り込みで六七〇円の昼食バイキングを、息子はハンバーグが食べたいということで、「こってり亭食」千円を注文した。他のメニユーをすこしだけ、紹介しよう。六百円の伊予地鶏丼からオムレツカレー六五〇円、チキンドリア七〇〇円、さらに、「あっさり亭食」八五〇円、鶏唐揚げの「ちびっ子亭食」六五〇円というのまである。隣の席では女の子がお母さんと静かに食事中だ。私のバイキングは写真の通りの盛沢山。一方、「こってり亭食」の息子はハンバーグに入っていた賽の目に切ったトマトを残した他は大満足ですべてを平らげた上に私の唐揚げをつまみ食いするという恐るべき食欲を見せた。 　感想をひとことで言えば、鉢盛料理のてんやわんや王国、津島町の名に恥じぬ、見事なファミリーレストランということだ。値段も手頃だし、味もよい。メニューも偏りがなく豊富で穏当だ。その上、デザートのケーキ、アイスクリーム、ソフトクリームのおいしさ。さらには、和風甘味のメニユーも完璧。夜には居酒屋タイムが始るというから、若者達やお父さんも楽しめる。つまり、最強のファミリーレストランなのだ。この地方に全国展開のファミリーレストランが出店しない理由がなんとなくわかった。奥には駐車スペースもたっぶりある。年中無休。