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2001年10月号 掲載
第 48 回 檮原の喫茶店 
「天狗の風」 
高知県檮原町 
 

天狗の風のパンとコーヒーの食事
後で自家製のピザの生地がパリパリしてとてもおいしいと聞いた。 雲の上温泉につかった帰りにでも寄ってみて下さい。
 先日のこと、無農薬のほうじ茶を買いに高知県の檮原町に出かけた。宅急便で送ってもらうことが多いが、たまには田所商店の田所さんの顔を見に行こうと思ったのである。いつもながら、日吉を過ぎるとほとんど車に出会うことのない国道一九七号線を走ると吉田から一時間もかからずに檮原の町に着いた。さっそく田所商店へ。ほうじ茶と青柳、それに抹茶を買う。いったん、奧に入ってお茶を袋に詰めて戻ってきた田所さんが、「ずいぶん、久しぶりだったね、今年は新茶をあげんだったかなぁ」と言う。「今年は新茶が出て少しした頃に寄ったよ」というと、「あっ、そうだったかね」と言って煎茶を一袋おまけしてくれた。
 田所商店を出て、町役場の方に戻るとき、左手に「天狗の風」という喫茶店の看板を見つけた。昔の公民館か、幼稚園かよく分からないが古びた木造の建物が喫茶店とギャラリーになっている。車を止めて中に入った。靴を脱いで上がると客は一人もいなかった。和紙の工芸品などが置いてあり、奧の明るく広い部屋にテーブルと椅子があった。「こんにちは」と人の気配のする方へ声をかけて、腰をおろした。壁のメニューを見るとピザやスパゲッティもある。朝が遅く、昼を食べていなかったので少しお腹がすいてきた。出てきた店の人にスパゲッティをたのむと、今日は材料が揃わないとのこと。それではと、自家製パンとコーヒーを注文。パンについてきたこれも自家製のブルーベリージャムとヨーグルト、イチジクのジャムがとてもさっぱりとしておいしかった。コーヒーも水のせいかよかった。思いのほか、なんとも簡素で気持のよい食事が出来、うれしい思いをした。でも、次はスパゲッティとピザもためしてみたい。
 
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