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1997年02月号 掲載
第 1 回 三崎ドライブインの昼定食
三崎町名取(旧197号沿い) 
TEL0894-54-0677 

看板はないが看板娘在り。
船山さんと姪の木村綾子さん。
 国道一九七号のメロディラインから、青地に白抜きで「名取」と書かれた小さい案内板に従って、右手に上る旧道に入る。左手に広がる美しい名取の海を眺めながらわずか二、三分も走れば三崎ドライブインである。
 昔はあったという看板も風に飛ばされて壊れたままだし、建物もごく質素である。でも、ここの昼定食(七百円)はほんとうにおいしいのだ。きょうのメニューは、カワハギの刺身、ヤズの塩焼き、ホータレ(小鰯)の酢の物、ホータレの天ぷら、ソーセージとピーマンの炒め物、ポテトサラダ、大根とじゃこ天といかゲソの煮物、養殖鯛のお吸い物。
 店を切り盛りする船山ソノエさんは、「ウチはね、おわかりじゃろうけど高い材料は何も使ってないのよ」とあっさり言い切る。しかし、素材の鮮度と質はともに抜群。大佐田の豆腐屋さんまで行って分けてもらうという丸寿司のおからに至るまで材料はよくよく吟味されている。

ご馳走は美しい名取の海から。沖には日振島が見える。
この店の定食には、気取らない、手を抜かない正直な料理の幸せが一杯だ。船山さんはメロディラインの開通でほとんどの車が素通りしていくと言われるが、一度でもここの定食を味わった者なら絶対に素通りはできないだろう。
(九七年一月十六日)

鍋ではイカの足と大根、豆腐が煮える

あたらしいカワハギの刺身など

 
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