2007年03月号 掲載
「御荘牡蠣再訪」
稲田水産 10895-74-0627
南宇和郡愛南町御荘平山1295
殻付きの牡蠣は、卯之町駅前「ステーション」のシェフ横手さんにお願いして調理してもらった。マスタードの味がきいたケチャップ焼、にんにくとオリーブ油の匂いが香ばしいエスカルゴ風、本格的なチャウダー、牡蠣フライ、もちろんレモンを絞った生牡蠣も。
ひどい暖冬が終わり、もう春が近づいている。牡蠣の季節もそろそろ終わりが近づいてきた。久しぶりに愛南町(旧御荘町)平山の稲田水産を訪ねてみた。美しい宇和海の海岸沿いに国道56号線を南下して宇和島から車で約3、40分。牡蠣の産地がノロウイルスの風評被害で困っているというニュースが伝えられていたが、稲田水産は健在だった。御荘湾の養殖牡蠣は、湾の一部で埋め立てが行われた後、地元の牡蠣が夏を越せなくなったため、ずいぶん前から、広島生まれの牡蠣を仕入れて9月から湾内の筏に吊るして育てている。広島出身でも僧都川など3本の川が注ぐ御荘湾で育てると、2ヵ月で、完璧に肉が張ったぷりぷりの「御荘牡蠣」に生まれ変わる。前に訪れた時と同じ稲田さんの家族が筏の上の小屋で牡蠣を剥いていた。水揚げしたばかりの殻付き牡蠣を箱に詰めてもらい、剥き身のものも3キロほどわけてもらった。
牡蠣は生きている。新鮮なものなら、剥き身にしても、この季節であれば、よほどのことがない限り冷蔵庫に入れて10日ほどは生きている。きれいな海なら、生で食べても、ほとんど問題はないのだ。しかし、何が起きるかわからないこんな物騒な世の中では、無菌状態にしたものでないと、生でどうぞとは言えないし、賞味期限も5日間ほどの表記になる。根拠のない風評が、ほんとうにまじめに、おいしい牡蠣を作る人たちを痛めつけるなどということが起きる世の中に怒りを覚える。
牡蠣の季節が終わり、春が過ぎて初夏の風が吹き始めるとこのあたりには、御荘柑の季節がやってくる。その頃にまた来たい。
牡蠣の養殖場
牡蠣のチャウダー
牡蠣フライ
牡蠣のケチャップ焼
牡蠣のエスカルゴ風
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