1998年07月号 掲載
伊予中山点描
佐礼谷のたばこ畑
盛景寺の菩提樹を見た後に、秦皇山に上った。標高五三〇メートルの小池という集落に広がる美しい田園風景を過ぎて、さらに森の中を走る道を上って頂上に出た後、佐礼谷へ下った。 佐礼谷の周辺には伊予郡最高峰の階上山(はじかみやま)の階上城や、松の森城など、かつて土佐の長宗我部軍に滅ぼされた山城の遺構が多く残っている。
小池。標高約600メートル付近に広がる美しい山村。
戦後 (昭和24年~昭和61年)の局舎
戦前の局舎(下)には住む人はなく、倉庫として使われている。正面屋根の鬼瓦に郵便局のマークが見える。窓ガラスから、中を覗くとしっかりしたカウンターと窓口が残っているのが見えた。 戦後の局舎(左)は、懐かしさを誘う下見板張りの洋風建築である。前佐礼谷郵便局長の飛田吉一氏が、昭和24年に25歳で局長に就任し、当時の郵便局のスタンダードな建築スタイルによって建てられた。木材は持ち山の木を使われたが、戦後の物不足の時で、窓ガラスや釘の調達に苦労されたという。郵便局は、昭和61年に道路の向かい側に新築された局舎に移り、今は、玄関に「瑠璃艸居(るりそうきょ)」の札がかかっている。飛田氏が、その色を愛する瑠璃葛に因んで名付けられたものだ。
戦前(昭和2年~昭和17年)の局舎の鬼瓦には郵便局マークがある
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