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2007年01月号 掲載 

まんじゅう街道」 健在
宇和島市吉田町 白浦~法華津
 
 今回の、国道378号線を走る旅のはじまりは、6年前にごちそうノートで取材した2軒の菓子舗の饅頭であった。

- 吉田町玉津の長屋門 -


- 黒まん (もりた菓子舗) -
最初は宇和島市吉田町白浦のもりた菓子舗へ。吉田町の立間で国道56号線をくぐって明浜への県道271号に入る。小さなトンネルを抜けるとすぐ下に海が見えてくる。海の手前左側、白浦のバス停近く、クロネコヤマトの宅急便の旗と「名物黒まん」という看板の店である。黒まんは1個65円(税込み)。黒砂糖の風味が素朴でおいしい田舎まんじゅうである。6年前と変らない価格だ。いつも、おばあさんといっしょにいた大きな猫は、病気になって店番を降板していた。


- うすかわ饅頭 (山村菓子舗) -
 続いて、玉津の山村菓子舗へ。法華津湾沿いに走り、長屋門が見えたら、山側の旧道を玉津の集落に入る。郵便局や保育園を過ぎ、完成間近の新しい愛媛県果樹試験場南予分場を右に見て、小学校を過ぎた少し先に宇和島自動車の法華津バス停がある。小さな広場のように道が少し広がっているのですぐに分かる。そのバス停の前にある、看板らしい看板もない小さな店が山村菓子舗である。この店のうす皮饅頭がまたうまい。ほどよい大きさで、甘過ぎず、嫌味のない素朴な味。値段はこれ又、6年前と変らぬ1個63円(税込み)。世にうす皮饅頭の名店は数知れずある。最近は松山で見事な広告塔を見かけ、文化人が広告に名を連ね、かつては吉田茂が賞味し、たしかニューヨークでも売っていた山田屋饅頭を好む人も多いであろう。しかし、私は、6年前に変わらぬ価格と同じく、やはり殆ど人に知られぬ山村菓子舗の方に軍配をあげたい。

 2軒の菓子舗とも、何十年も、顔のわかる人たちを相手に、人の手で、作れるだけの限られた数のものを、毎日、きちんと当たり前のやり方で、作って売って来たのだから、おいしくないわけがない。簡単な理屈ではあるが、ご時世を思えばなんとなくありがたい気がする。


黒まん  もりた菓子舗

北宇和郡吉田町白浦 10895-52-3634

うすかわ饅頭  山村菓子舗

北宇和郡吉田町法華津 10895-52-0065
法華津バス停の山村菓子舗には看板がない。

※ 小さい店です。休みのことも、売り切れのこともあります。
山村菓子舗の薄皮まんじゅうが蒸し上がるのはお昼くらい。とにかく、電話で前日に注文をしておくと確実です。
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