2004年05月号 掲載
再現されたアトリエ。DVDで畦地の生涯と作品をたどることが出来る。
山の版画家、畦地梅太郎の小さな美術館が、故郷の三間町に出来た。場所は三間町の「道の駅」の中である。小さい美術館と言っても版画を主体としたコレクションだから畦地のほぼすべての作品が鑑賞できるし、館内には三間町出身の他の版画家の作品もならべられている。木の新しい匂いがする質朴な館内は時折ぽつぽつと人が訪れる程度である。版画や絵を鑑賞する側にはうれしいようなもったいないような静けさで、とても落ち着くし、ありがたいと思った。しかし、開館したことが、まだ広く知られていないのだろうか。畦地梅太郎の広く、根強い全国的な人気からすると不思議な気がした。
美術館の中に畦地の東京の家のアトリエが再現してある。版画の道具や机、本棚もそのまま移してあって主の居ない部屋で、帰りを待つような気分が味わえる。部屋の突き当たりにある窓枠の中がDVDの画面になっていて、畦地の生涯と作品についてのフイルムが上映されている。若く貧しかった畦地が晩年に到るまでたゆまず、常に何か新しいものを生み出そうとして、自分だけの版画を生み出したことが胸にすとんと落ちるような、よくできた解説映像だった。案内の人も親切だし、ミュージアム・ショップには、畦地の本や絵はがきもたくさん置いてある。ぜひお出かけ下さい。
(畦地の美術館の隣に農機具会社の創立者井関邦三郎の事績を顕彰した記念館が併設されている。)
近くの札所仏木寺には、畦地の父親も奉納したという
農耕牛の瓦焼などがおさめられた家畜を慰霊する祠がある。
畦地の版画や肉筆画が数多く展示されている。
●開館時間 AM 9:00~PM5:00
●休館日 火曜日(火曜日が国民の休日に当たる場合はその翌日)、年末年始の6日間
●入場料 大人300円、小・中学生150円
団体(20名様以上)大人200円、小・中学生100円
※高齢者の方、身体に障害のある方、上記の金額の半額
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