1999年07月号 掲載
フォーラム in 八幡浜
子どもと学校建築 ―松村正恒の作品を通して―
日本建築学会四国支部 五十周年記念事業
福留氏は内子町の民家の石垣についても学ぶべき多くの技術があると語った。袋口地区で。
松村正恒の学校建築が現存する八幡浜市で日本建築学会四国支部が見学会とフォーラムを開く。建築を職業とする人よりも、子供たちが毎日、多くの時間を過ごす学校建築に関心のある方々にぜひ参加して頂きたいと思う。
かつて、若い建築家の友人と松村の学校作品を見て歩いたことがある。そのとき、彼が「松村さんの学校作品を見ていると、隅々にまで、松村さんの思いやりや優しさ、意図や苦心、はては、癖や好みまでが感じ取られる。そして、それらのものが松村さんの信念や哲学に通じて、空間を眺めながら松村さんと快い談笑をしているような気がしてくる」と語っていたのを今もおぼえている。
松村正恒は小学校をつくるとき、マルローの空想美術館にならって、まず空想の学校を思いうかべたという。「布団の中で目をつむる、子どもに変身する、童心にかえる、学校の中を走り回る、座ってみる、変化と感動を探りだす。決められた敷地がよみがえって学校のかたちが現れる歓声が聞こえてきます」。
多くの人々に、子供たちへのこまやかな愛情、建築家(建築稼)としての力量に支えられた深い配慮、ローコストでもよいものをつくろうとする強い意志と情熱がのこしたかたちに触れていただきたいものと願う。
※写真は、江戸岡小学校の音楽室のある校舎で
松村正恒の本 ぜひ、ご一読を!
▼『老建築稼の歩んだ道』
(有)青葉図書刊 本体2,000円
電話 089-943-1165
▼『無級建築士自筆年譜』
住まいの図書館出版局刊 本体2,330
▼季刊『チルチンびと』創刊第三号所収
「木霊が宿る学校」写真・浅川 敏/文・中野 照子
※『老建築稼の歩んだ道』、『無級建築士自筆年譜』は八幡浜市立図書館にもあります。
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