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2000年08月号 掲載 
つくばいと建築散歩
西条市
 うちぬきの町として知られる水の都、西条市でうちぬき21プロジェクト「水と石と遊ぼう」というイベントが始まった。主催は市民有志による実行委員会で、愛媛新聞社や地元企業などが協力している。来年夏のメインイベントに先駆け、今年は、市内の様々な場所に青石を彫刻したつくばいを置くというプレイベントが行われる。 7月12日には、まず、宇和町在住の彫刻家ケース・オーエンスさんが堀に囲まれた陣屋跡にある西条高校の校門前、JR西条駅前広場など市内の5ヶ所に自作のつくばいを設置した。
 7月22日に、ケースさんと一緒に西条市を訪ね、市内を散策した。猛烈に暑い一日だったが、思わぬ場所で、清冽な水が滾々と湧き出すうち抜きに出合い、涼を取ることができた。つくばいを置いたスポットの近くには、浦辺鎮太郎設計の栄光教会や、安藤忠雄設計の湧水に浮かぶ光明寺、取り壊しが決まったという坂倉準三設計の市立体育館など現代建築の傑作もあり、なかなか充実した街歩きになった。

蹲【つくばい】  茶庭に置く石の手水鉢のこと。低く据えられるので手を洗う茶客がつくばう(姿勢を低くする)ことからいう。



ギャラリーかわにし前

越智自転車店前

商店街の中

西条高校前

ケース・オーエンスさんのつくばい
青石のつくばい。水の町の公共の生活空間に新しいスポットが誕生した。全部で21基のつくばいが設置される。 残りの16基は現在デザインを一般公募中で9月に市内の親水スポットに設置される。

【問い合せうちぬき21プロジェクト実行委員会 電話0897-55-3720】

つくばい散策で出合った名建築

浄土真宗本願寺派「光明寺」本堂
西条市大町 この7月28日に落慶。安藤忠雄の作品。 湧水に浮かぶ本堂の前に立つと、ほんとうにすがすがしい気分に満たされる。

浦辺鎮太郎「栄光教会・幼稚園・牧師館」
戦後間もない頃に建てられた。 浦辺がクラレ営繕時代の作品。質朴だが細部に心のこもった建築だ。

西条市体育館 西条市大町鷹丸
一九六一年完成。パリ万国博日本館や神奈川県立近代美術館、 東京日仏学院、国際文化会館など数多くの名建築を生んだ坂倉準三(一九〇一‐一九六九)の作品。 坂倉は東京帝国大学の文学部で美術史を学んだ後、単身渡仏し、フランスで建築を学び、 ル・コルビジェに師事した。道路から見ただけで美しい形に目を奪われるが取壊しの予定と聞いた。

 
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