2001年08月号 掲載
石彫をいかしたまちづくり
「うちぬき21プロジェクト」青石彫刻公開制作を見る
西条市大町
田中坦三(左)とケース・オーエンス
ルカ・ローマ
菅 利光
水の都、西条市は、石鎚山に源を発する加茂川の下流域にあたり、清冽で豊富な水と有名な伊予の青石が調和した美しい景観で知られる。昨年夏、市民が中心になって、西条の美しい自然を21世紀に伝えるため「自然との調和」をテーマにしたプロジェクトを立ち上げた。すでに、市内の十六ヶ所に青石のつくばいを置いたり、町並みのウォークラリーや写真コンテストなどの活動を行っているが、今夏は「伊予西条石彫シンポジウム」と題し、プロジェクトの趣旨に共鳴するケース・オーエンス、菅利光、藤部吉人、田中坦三、ルカ・ローマの五人の彫刻家に青石(総重量五十トン)による作品制作を委嘱した。
七月二十二日からその制作現場(西条市大町常心お旅所広場)が公開されているので訪ねてみた。公開制作の場は西条神社の前、御輿のお旅所広場で、前は通学路になっており、中学生や高校生たちの姿が多い。国道から歴史を感じさせる家並みが続く道に入ったところにあり、すぐ目と鼻の先に夏目漱石の松山中学での教え子でその臨終を看取った医師真鍋嘉一郎生家の碑も建っていた。
さて、作品は見てのお楽しみ、回転したり、口から水を吐いたりする仕掛けのあるものも制作されるという。製作期間中の休日、八月五日と八月十九日には藤部吉人による親子彫刻教室も開かれるし、作品完成後の八月二四日には「石彫を生かしたまちづくりフォーラム」も実施される。
酷暑の中、個性溢れる五人の彫刻家が、共同で食事を作りながら、それぞれの巨大な石に立ち向かっている姿を見たり、時に言葉を交わしたりするのは、芸術を身近に感じる得難い体験であると思う。
石彫制作公開現場 西条市大町常心お旅所広場
問い合わせ先/うちぬき21プロジェクト実行委員会事務局 TEL0897-55-1414
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