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2001年07月号 掲載
隅田川にそって歩く
浅草-向島-寺島 


 井上明久さんと浅草の吾妻橋を渡り、枕橋、三囲神社、長命寺などを経て寺島町に寄り道しながら木母寺まで散策した。鐘淵駅から電車に乗って浅草に戻った。子規も虚子も古白も歩いた向島界隈、約一〇キロ弱、暑い日だったがたのしい町歩きだった。

木母寺
謡曲「隅田川」のゆかりの地。空襲で全焼。都市再開発で本来の場所から少し動いている。 唯一焼け残った「梅若堂」がコンクリート製の覆堂に入っているが、 高層住宅群に見下ろされた感じで寂しさを感じる。


言問団子
何となく桜餅は敬遠し、井上さんと向かいにあるこれもよく知られた言問団子の店に入った。 松山の「坊ちゃん団子」より一まわりでかい。色が美しくて、甘さも淡泊でおいしかった。湯呑みや皿には、 在原業平の歌にちなんで都鳥(百合鴎)のかわいらしい絵が描かれている。


鳩の町、寺島町界隈
歩いていると、下町の暮らしの豊かさを感じる。故滝田ゆうのマンガの世界そのままだ。

三囲神社のお稲荷さん
墨田区向島2丁目。創建は弘法大師の勧請と伝える。往時は三囲稲荷社と呼ばれた。 土地の人々が雨乞いの最中に通りがかった、俳人宝井其角が「夕立や田を見めぐりの神ならば」 と詠むと雨が降ったという故事によって建てられた句碑など石碑が多い。


枕橋
関東大震災の時に俳人富田木歩がこの橋のあたりで亡くなった。 句碑は三囲神社にある。「夢に見れば 死もなつかしや 冬木風」木歩は子規遺稿を愛読した。

吾妻橋界隈